

プロフィール
写真(左) 管理者 塩﨑さん/福田歴5年3ヶ月/枚方市出身
3児のパパ(8歳・6歳・4歳)。現在は高槻市在住。
趣味:子どもと遊ぶこと
看護師でなければ何になってた?:警察官
無人島に持っていくなら:家族写真(毎日見て、がんばる原動力にしたい)
写真(右) 特定看護師 小栁さん/福田歴4年3ヶ月/姫路市出身
理系・工学部機械工学科卒、元機械設計職。インドでのボランティア経験をきっかけに看護の道へ。
趣味:海外旅行(インド・ネパール・カンボジアなど)
看護師でなければ何になってた?:やっぱり看護師→「趣味」であり「天職」です(笑)
無人島に持っていくなら:帰りのボート(船舶免許あり/元ヨット部)
今回お話を伺ったのは、フクダ訪問看護ステーション・御殿山の管理者・塩﨑さんと、
特定看護師として在宅医療の最前線に立つ小栁さん。
キャリアもバックグラウンドも異なるお二人に共通していたのは、
「在宅で暮らす人の“その人らしさ”を、最後まで支えたい」という、まっすぐな思い。
忙しい在宅の現場だからこそ、家庭の事情やライフステージに合わせて柔軟に働き方を調整し合う。
困ったときには「お互いさま」で声を掛け合い、職種や年齢にかかわらずチームで利用者様と向き合う。
そこには、病院から地域へとフィールドを広げてきた“フクダらしさ”がにじんでいました。
本記事では、特定看護師としてのチャレンジや、印象的な看取りのエピソード、
そして、コミュニティスペース「GOZEN」を活用して描いている「地域との新しいつながり方」まで——。
在宅の現場で日々奮闘するお二人に、
フクダ訪問看護ステーション・御殿山で働くことのリアルと、その魅力を語っていただきました。
――現在の体制について教えてください。
塩﨑さん:
「フクダ訪問看護ステーション・御殿山は、福田総合病院系列の訪問看護ステーションです。
現在、常勤6名・非常勤2名の計8名で、男性3名・女性5名、年齢は20代から60代まで幅広いですが、30代が8割を占める、比較的若いチームです。枚方市内でも、かなり大きなステーションとして見られるようになってきたと感じています。また、最近は、地域の医療機関からの紹介が増え、利用者様の層も、難病の方だったり、看取りなどが必要なケースがぐっと増えました。」
――お二人から見て、フクダ訪看はどんな職場ですか?
塩﨑さん:
「一言でいうと、『スタッフファーストな職場』ですね。
スタッフ一人ひとりが宝だと思っています。家庭の事情や個人の事情でお休みが必要になったときは、可能な限り100%聞いてあげたいし、休み希望もできる限り通したいと考えています。
“よそではできない働き方”を実現してもらいたいんです。
過去には、看護師として働くことが難しいタイミングが来たスタッフには事務として関わる選択肢を提案しました。また、訪問看護師として働きながら福田総合病院が運営している『ふくふくファーム』の農園長を務めるというユニークな働き方をしているスタッフもいます。ライフステージに応じて、役割を柔軟に組み替えながら、長くこの組織とつながり続けられるようにしたいと思っています」
小栁さん:
「私から見ると、『切磋琢磨し合える職場』です。
看護のことだけでなく、プライベートでの悩みなども含めて、みんなで一緒に乗り越えていこうという雰囲気があります。“誰か一人”ではなく、“チームみんなで”考えていく感じですね。
看護師歴が長い人が多い職場だと、新人さんが意見を言いづらいケースもあると思います。でも、フクダ訪看では新人の意見にも耳を傾けてくれて、『それいいね』『じゃあやってみようか』と、一緒に考えてくれる人が多い。現状に満足せず、みんなで前に進もうとしている職場だと思います」
――1日の働き方のイメージを教えてください。
小栁さん:
「朝は8:40〜9:00に情報収集とミーティングの時間があります。ここで、利用者様情報の共有や当日の動き方をチーム全体で確認します。訪問は“担当制”ではなく“チーム制”なので、『久しぶりに伺うご自宅』に行く場合などは、最近訪問に行っているスタッフからの情報がとても大事です。
9:00頃から1件目の訪問に出て、続けて午前中に2件前後。お昼休憩を訪問の合間で1時間取り、午後は17時頃まで3〜4件回るイメージです。移動手段は、車・原付・電動自転車など、エリアや本人のスタイルに合わせて選んでいます。
1日訪問は5件から、多い日は6-7件ほどになる日もありますが、常勤スタッフの平均残業時間は月10時間程度となっています。」
――「もっと利用者様にできることがある」と感じた瞬間
小栁さん:
「私はもともと、大学の機械工学系の学部を卒業して、機械設計の仕事をしていました。大学の卒業旅行でインドを訪れたとき、現地でボランティアに参加して、マザーテレサの家で生活されている方々と出会ったことが大きな転機になりました。
手がない、足がないことが“当たり前”にある世界で暮らしている人たちを目の前にして、『自分は日本で何不自由なく生きてきたけれど、本当はもっと人のためになる仕事がしたいのかもしれない』と感じたんです。その感覚が、社会人になってもずっと心の中に残っていて、仕事を辞めて看護学校に進学しました。
今は、“看護師は趣味であり天職”だと思っています。
もし看護師をしていなくても、遠回りして最終的には看護師になっていたと思います」
――特定看護師を目指そうと思われた背景を教えてください。
小栁さん:
「訪問看護の現場で、痛みや苦しみに耐えて頑張っている利用者様と向き合う中で、『利用者様ファーストで考えたときに、医師の指示待ちだけではなく、もっとできることがあるのでは』と感じる場面が増えてきました。
自分のキャリアを考えたときにも、“ゼネラリスト”として幅広く関わるだけでなく、“スペシャリスト”として在宅医療の領域で強みを持ちたいと思うようになりました。枚方エリアでは、訪問看護で特定看護師として働いている人もほとんどいなかったので、『どうせやるなら、有名になりたい』という気持ちも少しありましたね」
特定看護師とは?
正式名称は「特定行為研修修了看護師」で、現場では「特定看護師」「特定行為看護師」と呼ばれることが多いです。一般の看護師との大きな違いは、医師とあらかじめ共有した手順書に基づき、一部の診療の補助(特定行為)を看護師自らの判断で実施できる点です。
厚生労働省の資料によると、特定行為看護師は令和7年(2025年)9月時点で全国に13,887名いるとされています。年々増加傾向であるものの、日本の看護師全体(約350万人以上)から見るとまだ1%未満と少数派で、今後の普及が期待される分野です。
特定看護師の就業場所は8割以上が病院ですが、訪問看護ステーションでも配置が進んでいます。在宅医療・訪問看護の現場では、「いま、この場でどこまで対応できるか」が利用者様・ご家族の安心感に直結します。特定看護師がいることで、状態変化への迅速かつ専門的な対応が可能になり、医師との連携強化や事業所全体の知識向上にもつながる点が、大きなメリットです。
――特定看護師になるにあたり、職場からのバックアップはいかがでしたか。
小栁さん:
「特定看護師になるための必須の研修を受ける都合で、滋賀医科大学に通う必要がありました。職場には“全力応援”していただきました。
また研修と並行して実習も必須ですが、これは福田総合病院の患者様を対象にさせていただき、病院側も含めて業務調整をしていただきました。
訪問看護だけしていたら関わらなかったはずの病院の医師の先生方とも、特定看護師の実習やレポートを通じてコミュニケーションを取るようになり、医師との関係性にも良い変化があったと感じています」
塩﨑さん:
「自分でやりたいことを持ち、意識高く学び続けてくれるスタッフがいるのは本当にありがたいです。そういうチャレンジは、できる限り全力で応援したいし、『やってみたらええやん!』と背中を押していきたいですね」
特定看護師が行う「特定行為」とは?
特定行為は21区分38行為があり、それぞれの区分ごとに研修が設けられています。特定看護師は、その本人が研修を修了した特定行為に限り、医師があらかじめ用意した手順書に基づいて自律的に実施することが認められています。
小栁さんが現時点で行える特定行為は4つ。具体的には「気管カニューレの交換」「胃ろうカテーテル若しくは腸ろうカテーテル又は胃ろうボタンの交換」「褥瘡又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去」「脱水症状に対する輸液による補正」の4つで、いずれも訪問先で実施頻度が高く需要が大きい行為と言えます。
――訪問看護の現場で、印象に残っているケースを教えてください。
小栁さん:
「私は終末期のケアに関わりたいという想いが強くて訪問看護に来たので、看取りの場面は特に印象に残ることが多いです。
ある年末、新しく依頼があった男性の利用者様が、『自分はピースをして死にたい』とおっしゃったんです。たまたま、私の訪問のタイミングでその瞬間が訪れ、ご本人は本当にピースのポーズをしながら、大切なご家族に見守られて旅立たれました。
当時海外留学していたお孫さんも、スマホ越しに画面の向こうから見守っておられました。
ご本人の希望を叶えられたこと、ご家族の中で“訪問看護”が温かい記憶として残っていることが、本当に嬉しかった出来事です。
その後も、ご家族が法要の際にステーションに顔を出してくださり、
『生前に、訪問看護ステーションのスタッフには節目ごとに挨拶してほしいと本人が言っていたんです』とお話しくださる。その度に、『この仕事を選んで良かった』と心から思います」
塩﨑さん:
「印象に残るケースは、ありすぎてどれを話そうか迷うくらいです。
春休みの時期に、ご家族が『どうしても自宅で看取りたい』と希望されたケースがありました。病状はかなり進行していましたが、ご本人の希望もあって在宅へ戻られ、奥様・お子様・お孫様のみんなが集まる、にぎやかな雰囲気のなかで最期を迎えられました。エンゼルケアまで関わらせていただき、とても印象に残っています。
一方で、課題の残るケースもあります。
『看取りでいきましょう』と話し合い、ご家族も同意していたはずの方で、急変時に娘さんが不安から救急車を呼んでしまったケースがありました。訪問診療を行っているクリニックへの連絡がうまく繋がらなかったこともあり、十分な連携を取れないまま病院で死亡確認となってしまいました。
その経験を通して、
・看取りのケースでは、事前にクリニックとの連携体制をより密にしておくこと
・ご家族の不安や“本音”を、時間をかけて丁寧にすり合わせておくこと
の重要性を、本当に身にしみて感じました。
良いことばかりではなく、反省もしながら、積み重ねてきたことをスタッフ全員で共有することで、利用者様にとっての「最期の時間」を大切にしていきたいと考えています。看取りは、利用者様・ご家族にとって一度きりの時間です。
できる限り“悔いのない時間”にしていただけるように、訪問看護としてできる準備と連携を整えておきたいと思っています」
~「SOSをすぐ出せる地域」をめざして~
――お二人が考える「地域のつながり」とは、どのようなものでしょうか。
塩﨑さん:
「病院と在宅医療では、どうしても“目線”にギャップがあると感じる場面があります。病院は“治療の場”なので、『状態が安定したら家に帰ってもらう』ところまでが役割になりがちです。
でも本当は、
『その家で本当に過ごし続けられるのか』
『家族構成や住環境はどうなっているのか』
といった背景まで含めて考えないと、“退院して終わり”ではない在宅生活は成り立ちません。
在宅の現場に出てみて初めて、『病院からの情報がこれだけだと、家での生活をイメージしにくいな』と感じることも多くありました。病院にいた頃は気づかなかった視点に気づかせてもらえるのが、訪問看護の仕事でもあると思います」
小栁さん:
「私にとっては、『SOSをすぐに出せる環境』があることだと思います。
体調面でも、生活面でも、『何かあったときに一人で抱え込まず、誰かに相談できる』。家でも病院でも、必要なときに必要なサポートにつながれる仕組みがある地域が理想だと感じています」
――「GOZEN」でどんなことがしたいですか?
小栁さん:
「市民向けの講座をやってみたいですね。
『ちょっとした傷の正しい処置の仕方』とか、『よく使うお薬の基本的な使い方』とか、日常生活で役に立つけれど、意外と正しい知識が伝わっていないことって多いと感じています。医療情報はどんどんアップデートされているのに、世の中のイメージはなかなか変わらないところもありますよね。
何でもかんでも絆創膏を貼ればいいと思っていたり、『とりあえずオロナイン塗っといたら安心』みたいな(笑)。実際は、傷や皮膚の状態に合わせたケアや軟膏の選び方が必要です。そんな、日常の中の健康の知識を地域の方々に届けるセミナーなどを開催してみたいです。」
塩﨑さん:
「GOZENが、
・『血圧が高いと言われたけど、どの程度なら様子見でいいの?』
・『この傷、病院に行くべき? 家ではどうケアしたらいい?』
といった、日常のささいな疑問を気軽に相談できる場所になればいいなと思います。
訪問看護で関わっている方の中には、独居の高齢者も多くいらっしゃいます。
GOZENで一緒にご飯を食べたり、ふくふくファームのお米でおにぎりを食べたりしながら、保険制度の枠を超えて地域とつながる場になれば嬉しいですね」
小栁さん:
「病院では“患者様”として関わる時間が多いですが、訪問看護では、“生活者としてのその人”と向き合うことができます。ご自宅での時間や、ご家族との会話、好きなもの・大切にしているものに触れながら、その人の“らしさ”を支えることができるのが、訪問看護の大きな魅力です。
ご本人やご家族から、
『来てくれてありがとう』『あなたがいてくれてよかった』と直接言葉をいただけることも多く、それが大きなモチベーションになります。
『人の人生の最終章に寄り添いたい』『生活に根ざした看護がしたい』という想いを持っている方には、ぜひ一度、訪問看護の現場を見てほしいですね」
塩﨑さん:
「訪問看護に少しでも興味があるなら、ぜひ一歩踏み出してみてほしいです。
在宅医療は、医師・ケアマネジャー・ヘルパー・薬剤師など、多様な職種と一緒にチームで利用者様・ご家族を支えるフィールドです。病院とはまた違う“つながりの広さ”と“信頼関係の深さ”を感じられるはずです。
フクダ訪問看護ステーション・御殿山では、在宅に関心があり、利用者様・ご家族のことを心から思って動ける仲間を求めています。訪問看護未経験の方、ブランクがある方も大歓迎です。 『在宅で、その人らしい時間を支えたい』という想いがあれば、チーム全員で全力サポートしますので、ぜひ、一緒に地域の暮らしを支える訪問看護をつくっていきましょう。」
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